【大相撲】突き押し一本で横綱になれる可能性は?
初記事
記念すべき第1回は長年愛好している大相撲ネタ。
いきなりマニアックな切り口で考察してみた。
玄人をもうならせる素人論評を目指しがんばりたい。
古い話がやや多いことと敬称略であることはご容赦を。
(あえて敬称をつけないのは、ノリにかんしてはあくまでファンの雑談の延長であることを強調したいという意思表示でもあります)
テーマは突き押し相撲
先の9月場所は玉鷲の見事な優勝で幕を閉じた。
ご存じのとおり突き押し一本の力士、これで優勝2回もしているのだから大したもの。
しかも30代で2度の平幕優勝というのは史上初の快挙じゃないだろうか。
(たぶん平幕優勝2度というのがほかに琴錦しかいないはずだし)
しかし長年相撲を見ているが突き押し一本で横綱大関まで上がる力士は非常に少ない。近年だと貴景勝がいるがこれも相手と間合いをはかりながら相手の体勢を崩していくという良くも悪くも独特の取り口であり強烈なパワーで相手を圧倒するというタイプではない。
これに該当するのは少なくともこの40年くらいでは千代大海くらいではないだろうか。(もっとまえだと琴桜??)
さて、破壊力ある突き押しというのは、おそらく上位陣にとって怖いタイプのひとつにちがいないと想像する。
立ち合いなどでひとつまちがえるといっぺんに土俵外に持っていかれるという怖さがあるから。
無敵だった北の湖をカモにしていた朝汐(あえてこの字ね)はその典型だし、小錦、曙あたりもこの部類だろう。
しかしこういうタイプでも大関昇進前後くらいから相手によっては四つ相撲(正確には廻しを取って前に出る相撲)も取れるよう変化するケースが多いように思う。
なぜモデルチェンジが必要なのか
安定した成績を残しづらいからという点が理由としてまず思いつくが、じゃあそれはどうしてなのかと考えると
- 突き押しで勝ち切れるいい立ち合いを精度よく再現する難易度が四つ相撲より高い
- 相手と距離ができやすいため、引き技、変化技を食いやすい
などがあると思う。
しかしそこを突き詰めると結局は、四つ相撲の強豪へ対応を考えた場合に突き押し一本で勝ち続けることには限界があるというのが最終的な答えなのではないかと考える。
曙のときにはおそらく貴乃花の影響が大きかっただろうし武蔵丸も右差しの相撲を磨くようになってから貴乃花と互角に渡り合えるように進化していったように思う。(貴乃花が衰えたという面が多少はあるにせよ)
こういった事実が、突き押し相撲で相当のパワーを持っていてもどんな相手にでも対応するということが相当むずかしいものだということを如実に物語っているのではないだろうか。
やはり突き押し一本で横綱になるというのはとてつもなく可能性の低いものであると考えざるを得ない。
しかし突き押し相撲は貴重
土俵を盛り上げる存在として突き押し相撲は欠かせないものだとも思う。
富士櫻、麒麟児、寺尾らの熱戦や場内の大歓声なども強く印象に残っているし、両力士の激しい攻防、動き、スリリングな展開などは 突き押し相撲が四つ相撲に勝っている大きな魅力だと感じる。
なにしろ土俵上でまったくちがう対照的な攻め方をしたい両力士が最終的に勝つか負けるかまで戦い続けるというのは相撲ならではの妙なのではないだろうか(ポイントなどがないという意味)。
私は基本的には四つ相撲の熱戦が好きなのだが、その合間にちがった魅力のある突き押し相撲を楽しめるのも大相撲の醍醐味だろう。
さいごに
この記事を書きつつ、突き押し相撲のむずかしさを再認識させられると同時にその奥深さや貴重さも再確認することができた。
また今後は、突き押しに徹してほんとうに頂点を狙えるような逸材がいつか現れるかどうかにも注目していきたいと思う。